インドネシア人の94%はイスラム教徒と言われている。世界最大のイスラム教徒国です。朝や夕方にはテレビやラジオでsembahyang(スンバヤン)(berdoa kepada Tuhan)(ブルドア クパダ トゥハン)”アラーの神に祈り”が流される。一日の内の早朝のお祈りはあらゆる方向のモスジッのスピーカーから大音量で、流される。誰もが目覚まし時計の前に起こされてしまう。私も、お祈りはかなり覚えてしまった。
政治をつかさどる人たちもほとんどイスラム教徒です。ですから、どうしても、イスラムの教義とか習慣が優先されてしまう。ナショナルホリデイもイスラム関係が多い。
インドネシアの最大長期の休暇もイスラムのラマダンである。暦での祭日は二日間だが、政府からの指令で、前後に指定休日を設けて、一週間以上の休暇にする。振り替え出勤や年休消化などの方法を使う。それに、逆らう事はできない。その約一ヶ月前から、Puasa”断食月”になる。これも、企業は従わなければならない。他の宗教の人たちは参加しないが、目に付くところでは食事をしないよう気を使わなければならない。
とにかく全てがイスラム優先に世の中が動いている。西暦の新年は一日を休みにするだけで、会社も、学校も、普段どおりである。
プアサ中
Ramadan(ラマダン)はBulan Puasa(ブラン プアサ)”断食月”であり、”アラビヤ暦の9月”である。アラビヤ暦十月Sawal(サワル)一日がLebaran(レバラン)です。イスラムの正月です。
プアサ月に入ると断食が始まる時間、終わる時間が新聞、毎日時間が少しずつ変わるので、ラジオ、テレビあらゆるマスコミで知らされる。運転手は明けの時間になると、運転中、先ずボトルの水を飲む。レストランでは、5時過ぎから人が集まり始め、注文をし始める、明けの前には満席になり、料理も目の前に準備される。時間になると一斉に食べ始める。他の宗教の人も、一緒に付き合わざるを得ない雰囲気である。その毎日の食べ始めの時は、いつ出くわしても壮観です。
各家庭でも、同じように準備をしておき、時間とともに食べ始める。また、その期間中の何回かは誰かが、何処かの主催で、プアサ明け食事会が行なわれる。会社でも、上司が部下を自宅やレストランに招いて行なう。親睦会になる。
この期間、イスラム教徒でなく、多くの日本人男性が悩まされる事は、アルコール類の事と風俗の事である。ブロックM以外のカラオケは営業を自粛する。ブロックMのカラオケは原則としてアルコールは出さない、また、営業時間(ネオンを点灯する時間)を20:00~24:00とする。普段は18:00頃~01:30である。ホテル内は許されるがそれ以外は、アルコールは禁止だから、一般のレルトランではビールでも自粛しますが、中には、客の要望を断りきれず、お茶のようにして出すところもあるとか。毎年、何件かは、イスラム過激派の急襲を受け、営業停止や罰金の要求に発展する。見せしめのようなもの、ジャカルタ北部の歓楽街が日本人はあまり行かないが、怪しいディスコでは必ず、アルコールやドラッグで警察に摘発されている。
ブカシやチカランのカラオケは一ヶ月間休業、外国人向きスナックやカウンターバーも休業である。日本食レストランは酒を飲める。
帰省
休みに入る二三日前から年休を取り始める従業員が出てくる。渋滞を避ける為だ。レバランになる一週間前あたりから、帰省ラッシュが始まる。Mudik(ムディッ)と言います。”上流””さかのぼる”と言う意味から、”出身地に帰る”と言う意味になります。
これはすごい状況になります。乗り物と言う乗り物は全て大混雑。ダフ屋も相当出るらしい。
バイクや車もすごい。道の多くはアスファルトの状態を改良してあるのでこの時期穴ぼこは一番少ないが、とにかく、量が多すぎる。バイクでの帰省はすさまじい。大概二人以上乗っている上に重そうな荷物も抱え込んでいる。濁流のようにバイクが満ち一杯走る。車はのろのろ運転が続く。
鉄道が発達していないインドネシアでは車の移動が一番多いが、近距離(200km以内)はバイクがおおい。ガソリンスタンドpompa bensin(ポンパ ベンシン)の混雑振りも並ではない。左側のスタンドはトイレもすごい混雑、しかし、対向車線側は空いている、どうしても、用事があるときは、かなりの時間的ロスになるが、Uターンして寄るしかない。
途中のレストランも書入れ時、長い時間待たされる上に、食べたら直ぐ立たなければならない。
こんな、事は日本の暮れとお盆と同じだが、混雑繰りは桁違いである。割り込み割り込みで、10Cmでも5Cmでも詰め込もうと二車線は四車線になる。その隙間にバイクが入り込んでいる、事故が起きないのが不思議である。
連休中
外国人の大都市での生活は味気ないものにならざるを得ない。日本食レストランの従業員もデパート、シャッピングモールの従業員も帰省してしまっているので、空いている店は少ない、運転手もいないので、どこへも出かけにくい、遠出なんかもできない。ゴルフ場も休みになるところが多い。
インドネシア人の多くはレバラン以前にふるさとへ着いていて、完全プアサ明けを家族、親戚とともに祝う。そして、翌日は静かなレバランを迎える、モスジッドへ行ったり、親戚を訪ねたりするが多くは自宅でゆっくり過ごす。そして、二日目にはUターンの準備に入る。
その前、四五日間は道路はガラ隙になる。私は、このときにガソリンを満タンにし、長距離ドライブをする。祭日の二日間はガソリンスタンドも休みになる。反れるが、毎金曜日の昼も一時間ほど休業になる。
子供たちは親に日ごろの行いを謝る、この時期の懺悔のようなものだ。それを終われば罪が消えると言うわけだ、小遣いも貰える。お年玉みたいなもの、働いている兄さん姉さんも弟妹に新
札で小遣いを渡す。私はお手伝いさんに新札の5千Rp,1万Rpでボーナスを渡して帰省させた。
バリ島はヒンドゥーでレバランとは関係ないので、外国人はバリやシンガポールへ逃げる人も多い。私も車でバリへ行った事もあるし、カトリックが多いスマトラのトバ湖へ行った事もある。
Uターンラッシュ
帰省よりバラけるので、それほど渋滞にはならない。遠くへ帰った人ほど仕事への復帰は遅れる。仕方が無いことである。列車の事故に巻き込まれたり、バスが故障して動かなくなったり、バイク事故で怪我をしたり、日本人が想像する以上に遅れる原因は多い。全員揃うのは休みが終わって一週間後くらいになるでしょう。それで全員揃えば良しとします。帰省したきり戻らない人もいます。
これで、やっと一ヶ月と一週間の国民的一大大騒ぎが終わる。こういうことを目の当たりに見ていると、イスラム国家ものどかなものだと思う。