New Top
木目調PP

 木目風PPなど       

だいぶ、昔から、プラスチックで木材に似た製品は作られていた。ABS、PVCやPSなどの発泡製品である。おおむね単色で冷却金型いっぱいに出して表面にしわが出来るようにしていた。

その後、表面に木目印刷されたテープを貼り付けるやり方に変わっていった。現在の主力はこれである。このテープを張る装置が馬鹿にならない高価な複雑なものになっている。

そして、現在、盛んにもてはやされだしたのが、木紛入りのPVCやPPである。これを原料とした異形品の研究が日本で大流行している。もうすたれたかな?目的は、間伐材利用とプラスチックではなく木材として、認知してもらうこと。嫌われだしているPVCのカモフラージュになるということ。しかし、PPでの木粉入りは、木調にするというだけで、ほとんど意味がないように思う。PPにテープを貼り付けるいい接着剤がないので、その意味では有効か。PVCの場合は、硬度が異なる木紛入りのペレットを何色か用意しておき、その配合で木目の種類を増やす。木粉の乾燥と粒度を細かく揃えることが面倒でその部分がノウハウになるのでしょう。しかし、価格と魅力が釣合わないのではないでしょうか。

 なんとか、印刷やテープ張りや発泡ではなくて、純粋に溶融粘度が異なる樹脂を混ざらないように木目を出すように出来ないかと考える。

 カーテンレールの一種    
  テンションポールというものがあり、日本からの輸入を現地調達に変えたいという依頼を受けた。見せられたサンプルは、木粉入りPVCの木調という事だったが、同じものをやりたくなかったし、年輪の部分の分散が決してきれいに出来ているとは思えなかった。また、せっかくやるなら、脱塩ビにしたかった。それも、すでにある木粉を使わないで、発泡にもしないで、木目調のPP皮膜をつくり、金属やプラスチックにコーティングすることを提案した。これも、実際できるかどうかわからない、原料すら何を使うか当てがない状態で、できるはずだと思い込んでしまった。インドネシアでこんなことを言ってしまって直後、後悔した。しかし、言ってしまった以上何とかしないと格好が付かない。                                              

まず、当然だが、年輪用に一般の押出用PP(MIが1程度)よりMIが小さい(0.3以下)PPを探した。これがまた、ついていた。日本のD日精化が一年前に試作をしたことがあって、サンプルが10Kg残っていた。聞くところによると、高粘度PPの依頼があって提供したが、きれいな木目調にならなくて話は進まなかったらしい。「サンプルは渡しますが、木目については責任をもてません、結果が出たらサンプルを見せてください」と、逆に頼まれてしまった。

サンプルが届いて、中身を見たら、なるほどこれではだめだと思った。ペレットが大きすぎる。それでも、これしかないので、トライするしかない。結果、やはり、濃い部分が大模様になってしまい、木目という感じではなかった。ただし、この時点でうまくいくと確信できた。早速、そのサンプルを送るとともに、ペレットの大きさについて指示し、小さいものを作ってもらった。黒に近い茶色と若干濃い目の茶色の二種類、高粘度PPを使い、ベースに三種類の茶色の普通のPPを使い、表面のつや消しは温度条件の調整でなんとかし、見事に日本製PVCの木目に負けないサンプルが出来上がった。客先にも提出し量産の確認も得た。この種のカーテンレールは、すべて、PVCを使っているので、新商品としてのインパクトは大きいはず、やれやれである。この技術は、調査が必要だが、PT・KIIの権利所有にしようと思えばそうすることもできると思う。

試作は、手配を私がしたが、実際にやったのはインドネシア人スタッフと日本人の新入社員だった。条件については、完全に本人達に任せた。つや消しの表面ザラザラ感も適度なものにしてくれた。見事に期待にこたえてくれた。任せれば何とかしてくれる能力があることを確信した。

 一方、発泡のPP
  表面に木目PP皮膜をかぶせる二色成形のトライも進めた。しかし、これについては未完成。現在は試作が止まってしまっている。PPでのこの種の成形は未だに日本でも完成はされていない。ここインドネシアで、出来てしまえば面白いと思い、テーマとしてみた。若い人たちにやってもらっているが、なかなか私の思いが伝わっていないようだ。感覚的に彼らが考えている内容と違うのでしょうか、最終的にはやはり、自分がやることになるかもしれない。 
  もともと、木の粉を混ぜるという事は、木の中に水分が入っていて適度に発泡する。それを利用しているのだ。木を完全に乾燥してしまえば木調は半減してしまう。水が発泡剤なのです。
  樹脂に発泡剤をまぜ、発泡させると、表面がざらざらにる、茶色や黄色に着色すれば、木のようになる。これは、40年以上以前から知られている事です。発泡剤を日本から調達して、PT.ANDARASという、メダンの会社からの注文で、試作の角棒を作って見せた。従業員も他の日本人もあまりにも木に見えるので、びっくりして、感心していた。私としては、インドネシア人に感心してもらうのはいいが、日本人にそれも、何十年もプラスチックを扱っている日本人に感心されて、こちらがびっくりだった。  木粉を混ぜなくても、単に色違いの溶融粘度だけが違う樹脂を混ぜて発泡させれば、あたかも、木粉を混ぜた木目風の製品を作る事ができるし、これも昔からやっていた事です。
  

海外での木粉混合原料調達は、難しいし、時間がかかるし、値段も高いので、要領が良くないとなかなかできない、ビジネスライクだけではことは進みのくい、ある程度の人脈と信用がこういうときに威力を発揮する。それにしても、インドネシアでプラスチックの木目風は強度の強化に必要なら使われる程度である。なじまない。

ジェックスの水槽

発砲ABS

3 丸棒、厚板(丸太風)
 塩ビ屋さんが木粉入りの異形品を先ず作って、ある程度完成させた時、当然、せっかく木目調になるなら材木を作ってみようという事のなる。丸棒である。
 塩ビやさんは丸棒を作った事がないので、異形品と同じやり方で作った。当然、巣が出来てしまう。これでびっくりしても、固化押出のノウハウを持っていない。そこで、慌てふためいた塩ビ屋さんが沢山あった。多くの塩ビやさんから巣が出来ない方法を聞かれた。金型代は高くつくし、サイズをそろえるのは難しい。固化押出屋さんは高くつく製品に魅力を感じない結局、丸太としての製品は世にあまり出なかったようだ。一時の打ち上げ花火に終わったようだ。
 外国材より日本の木材自体が安くなっているし、いくら廃材利用という事でも価格が合わない事には仕方が無い。何か付加価値が必要だ。

TOP