押出成形設備の購入

○ 押出機その他機械の購入について
 一番最初に書く事だったかもしれない。何か押出製品を作りたいなら、それ用の装置が必要です。一品なら、専用機としてそれだけが出来る装置を装置やさんから購入すればいい。全く技術を持っていなければ技術指導込みで注文すればよい。例えばLDPEチューブを作りたいなら、サイズと長さの話をすれば至れり尽くせりの装置が提案され価格があえば購入すればよい。
  そうではなく、私が言うなんでも引き受ける押出成形をやるなら、押出機、引取機、巻取機、自動カッターなどを個別にそれぞれのメーカーから購入するが、金型と水槽は自分のデザインで自分が最寄の鉄工所へ特注する。装置屋へ注文すると、他の押出成形屋へ横流しされる。秘密保持と価格優先である。自分が想定したサイズと樹脂が成形可能な装置を発注している事は言うまでもない。小回りが利く装置です。それらの装置で何が出来るかは装置屋の責任ではないし、私を技術指導する装置屋があるわけがないので、勿論付かない。

 

1 いつ準備?いつ設備をふやす?

1−1 これは難しい。一般的な企業なら、基本的な考え方は、年度終了前、ニ三ヶ月ごろ、予算を立てる。来期の売り上げ、利益予想をする。その一種の目標を達成するために、設備投資の予算も一緒立てる。購入時期もその時決めておき、会社から、その予算全体が承認されれば、それにしたがって、営業、人員増強、設備、(工場建設)などを実行していく。

大会社ならいざ知らず、ただし、このような、しっかりしたレールの上に乗っかって、設備していくということは、現実的でない。現実は、仕事の入り具合、試作の頻度、設備の容量、工場スペースなどを、頭の中で想定し、常に20〜30%の余裕を持たせることが理想的である。

これは、まったくの勘である。いつ注文が減ってくる、増えてくる、新規の生産がいつから始まる、毎月何時間、それぞれの品目で使うか、すべてが勘である。その勘によって設備の増強を手配していく。設備購入の申請はもっともらしい売り上げ上昇予想のデータを添えるが、もともと、その申請が確かだとは思わない、承認する側は、期待するだけで、決済をする。

こちらの責任の元に申請し、予算が達成するように、仕事量を増やしていくしかない。プレッシャーは自分にかかる。もし、増強した設備がいつまでも稼動しないのでは、格好がつかない、信頼されなくなる。逆に、装置、機械が足りなくて客先に迷惑をかけるのもヒンシュクを買う。

1−2 考え方の一例として、
 今回、私が再赴任する前、1ラインの増強を依頼した。その1台を一年後ぐらいにフル稼働させる自身はあったが、やはり、やって見なければわからない。そこで、そのニラインについては、私からPT.KIIに貸す形を取った。一年半後に、なんとか稼動させることが出来て、設備をPT.KIIのものとした。

一年後から、もう半年で、いっぱい一杯になると感じたので、一ライン増強を申請し、1年8ヶ月で、一ライン増やした。現在、6ラインあるが、大体時期にもよるが、4〜5ラインは24時間、フル稼働になってきた。雰囲気から、私の予想では、今年、末ぐらいには二ライン増強の手配をしないと、新規客先を増やさなくても、自然増で、生産が追いつかなくなると思う。気分的にちょっとした裏づけはあるかもしれないが、とにかくすべて勘である。客観的絶対的裏づけがあるはずもない、もしあったとしてもそれほど宛てにならないし、しない。自分の勘と、能力が絶対的裏づけと言えなくもない。

来年二〜三月ごろまでに、多分、TOSO向けで1.5ラインを閉めてしまい、パラマウントで、0.5その他で、0.5ラインは増えるでしょう。注文を受けてから、手配するのでは遅いことは明白。これも一種の賭けになるが、自分の権限で、自分の勘に頼って手配を申請するしかしないか、時期をいつにするかを決めるしかない。増強を決めてしまえば、自分の勘が正しかったことを証明するしかない。このことの繰り返しである。

1−3 設備と仕事量と人数この三点が常にバランスが取れていることはない。
  三点とも余裕があることが必要。しかし、余裕がありすぎることは、遊んでしまっていることで、いいはずがない。他人の目は、この点に集中する。いわゆる稼働率である。しかし、機械を入れてすぐ設備が一杯になることはありえない。もしそうだとすれば、これも失敗である。まず大きな余裕が必要で、そのときの稼働率は悪いに決まっている。いちいち気にしていてはすくんでしまって前進は出来まい。

今の日本のように、仕事がどんどん逃げ出し続けいる状況では、設備の遊びが増える。明らかに、インドネシアはそれとは違う。現在、PT.KIIとしては積極的に新規客先の開拓はしていない。もし、どんどん、仕事を増やし、規模を大きくしたいのなら、その気になって営業すればまだまだ増える可能性は大きい。しかし、PT.KIIの技術的実力からすると、今がいっぱい一杯ではないかと思う。

これも難しいが、もし、設備が遊んでしまうようなことがあれば別だが、自然増に対応し、現在の客先に迷惑をかけないようにすればいいのではないか。

私が、若くてインドネシアでの時間があれば、また、自分の会社であれば、攻撃的な会社運営経営をしますが、時間的制限があるので、私のやり方を皆さんに押し付けて、自分だけ、いなくなるということは出来ない。無責任になってしまう。

2 どんな設備が必要か、設備の選定 

 まったく新規に押出成形ラインを設備する。
 最低必要な設備  

        1 押出機                             
        2 金型本体 口金 ヒーター
        3 冷却              金型
        4 水槽(バキュームボックス)
             
        5 引取機 (ブレード自動カッター付き) 
        6 巻取機
        7 チップソー切断機
            8 バキュームポンプ
        9 キャリブラー各種
 共通設備(必要なら)              
        1 乾燥機 
        2 粉砕機
        3 混合機(ブレンダー) 
        4 手動切断機
        5 オンライン加工機(グロメットカッター、スパイラルカッターなど
        6 踏み台、机、椅子など
        7 エアーリング

2−1 押出機

能力半分での吐出量で何Kgなのかを知る。製造しようとする製品の成形速度(原料消費速度)と大体同じ押出機を選ぶ。

メーカーは好み、価格と予備部品、ほとんど、買いっぱなしで、その後、接触することはほとんどない。押出機も他の装置でも計器の故障など当りはずれがある。これも、どこものを選定したからということではなく、良くも悪くもたまたまで、いろいろのメーカーのものを、もしテストできたとしても、実際に使うものとは違うのであまり意味はない。だいたい、どこのメーカーの押出機でも大差はない。えい、と、決めてしまって、あとはそのことを考えないこと。次回に生かす。

PT.KGでは大型のものは必要ないので、40か50mmΦということになる。価格を出来るだけ安くしてもらうのは当たり前だが、プラスアルファーといて、予備品を出来るだけ付けてもらうこと。ヒーター、サーモカップル、コード、計器などなど、

 2−2 金型

図面はそろっているので、サイズを変える必要があれば、数字を変えるだけ。どこに頼むかは適当に。スパイダーの部分はまだインドネシアで作ったことがない。作るなら、指導が必要か?

プロファイルの金型はその人の考え方、やる人が責任を持って最後まで完成させる。これこそ他人や他社に差をつける絶好のチャンスである。PVCやPS以外の樹脂で簡単にすばやく客先の期待に添えるような製品ができるようになるにはその人の資質が問われる。

人に依るが、がんじがらめの、ぎりぎりの金型は、私にはなじまない。金型はある程度のガイドと考え、金型の前後に何かをして、形状を決める。その後、固定したい部分があれば、修正して固定する。これも経験を積めば、どの部分を最初から固定できるかがわかってくる。ただし、一発でOKということは奇跡に近いので、意気込んで何とか一発でOKしようと、金型を作る前に、あれこれ考え込んで悩んだり、遅れたりすることは、要領が悪い典型。まずやってみること。

 2−3 その他の設備

押出機と同じで、生産量、製品サイズ、生産速度、製品形状などを参考にし、あとは本人の好み。日本からでもよし、台湾韓国シンガポールからでもよし。買ったあとで、何らかの問題が発生しても、今後に生かすヒントが増えたと考え、後悔しないこと。くよくよしないこと。これでよかったと思うこと。

 

3 納期

 日本からの装置輸入の場合、一番納期がかかるのは押出機。注文して全部そろうのが3ヶ月、準備に半月、海上が3週間、安全を見て、合計4ヵ月半かかる。こちらへ到着して使えるようになるのが半月後、よって、注文してから5ヶ月目に運転可能になると予測し、注文をする。見積もりはそれ以前一ヶ月前ぐらいから依頼をする。

4 予備品、スペアーパーツ

 前もって、設備を購入するときに、必ず必要になるもの、消耗が早いものについては、予備品も購入しておくといい。コストダウンの要求の変わりに、現物サービスを増やしてもらうことも一つの方法。

    出来るだけ、インドネシアで調達するため、探してみたが、有ったとしても、性能が悪くて使えないという傾向にある。                                                                                                         

 4−1 ちなみに、今まで、日本から購入したスペアーパーツは次の通り。     

  真空計、アンペアメーター、回転調節ツマミ、温度調節機、サーモカップル、ヒーター、ブレード(自動カッター、粉砕機)、タイミングベルト、スポンジシート、Oリング(バキュームボックス)、引取機のベルト、電磁クラッチ

購入方法は、主にハンドキャリー。緊急は空輸、急がないときには、装置購入時に出来るだけ多く、考えられるものを一緒にする。

4−2 インドネシアで調達できるスペアーパーツは

  ボルト、ナット、カッターナイフ、ヒーター、各種ベルト、チップソー、1mmゴムシート、キャリブ用0リング、アルミサイジングプレート、漏電遮断機、各種スウィッチ、各種ホース、各種継ぎ手、金網(フィルター)、

4−3 部品の購入
  チカランでもチビトゥンでも部品屋はあるので、出掛けて買ってくればいいが、そこらへんにない場合は、北ジャカルタのコタ、グロドックへ行って探してくる。これが、最後の手段です。雰囲気は秋葉原の部品屋さん。しかし、電気関係だけではない。とにかくなんでも部品、工具、道具、材料なんでも揃っている。日本製は飛びぬけて一番高い。台湾、韓国、中国、欧米製なんでもあるが、グロドックになければインドネシアには無いと決めていい。
 
 一人や日本人だけでふらふら見学、見物のようなことはしない方がいい。運転手と一緒に入ってください。貴重品は持っていかないようにしてください。グロドックはくれぐれも、身の回りに注意。外国人、特に日本人はすりや引ったくりに注意してください。いかにも危なそうな場所です。

5 何処製?
  韓国、台湾、中国、何処のでもOK、ただし、どこかが不都合になる可能性が高い。先入観か?会話の問題か、どうしても、不足部分が出来てしまう。インドネシアでは押出機や色々な製品の製造装置も、商社をつうじて入手ができる。価格は日本製の半値以下、中古品も簡単に手に入る。
  80φの押出機とフィルターオートチェンジャーの金型、水槽、ペレタイザーなど一式、ペレット製造装置、中古で200万円位で入手した。納期的にも直ぐはいる。
 日本人なら、それら、日本以外製の装置には違和感があるし、部品の手配などがしにくい面があるが、インドネシア人にとっては何処製も同じ事だと思うので、日本人の能力しだいだが、考え方を変えてもいいかもしれない。

 

インドネシアに限っての事情だが、何でも正解ができる人がいない。ということは、何でもできる押出成形装置を購入できる人はいないということだ。ただ、押出機、引取機、自動カッター、巻き取りき、仕様を詳しく伝えれば、作ることができる鉄工場は何か所か知っている。実際、私が指導している会社の内、三社では、インドネシア製の装置を問題なく使っている。ま、使う側の責任だ。

中国製は、安いが、アフターサービスは無い。やはり、こちらの責任で、改造など、装置を使えるようにする必要がある。保障はないとして、買うなら、買うことになる。また、注文した仕様になっているか、現地で確認をしなければならない。この事は、含めて、価格を決めること。