軟質塩化ビニールチューブ

 軟質PVCチューブの製造法
 全く驚いた。あまりにも私がやってきたPVC以外のチューズの製造方法と違うからです。いい加減な方法で作っているのです。何の工夫もなかったといえば失礼かな。
 どう考えても、作業員がこの方法から脱しようと思っているとは考えられない。現方法で何とか製品にしようと躍起になっている。良品は何とか出来ている。順調ではないがロスを大量に出しながら、楕円のクレームにおびえながら、QCは製造に文句を言うが、それ以上の品質の物ができないのだから仕方がない。
 私が、ああしたらいいかもしれない、こうしたらいかもしれないと、アドバイスしても彼らは方法を変えようとしない。保守的というかやってみる能力がないのか、一向に方法を変えようとしない。

彼らに任せていては、なんの変化もないことが分かった。自分でやってしまわなければならないことも分かった。
 なかなか、製品が出来なくて、もうそろそろいらいらしてきた頃を見計らって、私が実験的テストをしていいかどうか聞いて自分でさまざまな思い付きをテストしてみた。

硬質PVCのパイプは作ったことがあった。バキュームを聞かせて簡単に作ることが出来た。しかし、軟質PVCチューブを、作ったことがなかった。この会社に入って一番びっくりしたことはこのチューブの製造方法でした。実にラフでいい加減と感じた。しかし、いざ、自分でやってみると、この方法ではいかんともしがたいことが分かっただけだった。何とかしなければ私の存在価値がない。全然やったことがくても、色々考えれば何とかなる物です。

考え方が変でした。ガスケットの製造方法そのままに、水をジャブジャブかけ、水槽の水に浸かっている部分は三分の一いか上の大分部は水面から出てしまっている。明らかに、断面で冷却の速度が異なり、歪が生じ、製品が曲がってしまっている。曲がっているから、カッターで引っかかったり、斜めに切れたり問題が起きる。ロスが大変多い。同じ、行動を繰り返しいている。
 そこで、根本的に解決する方法を考えた。とにかく、断面での冷却速度を同じにしなければならない。そうしなければ曲がりはなおらない。水につけるしかない、最初から浮かしては駄目だ、少なくとも水槽へ入って最初150〜200mmは全体を水に沈めなければ効果はでないことが分かった。単にサイジングプレートに通したり、丸いキャリブレーションダイに通したりではその部分だけ一瞬、水に浸かるが、直後に浮き上がってしまう。それを押さえて沈めようとすれば平たくしてしまう。上の壁に当ててなおかつその距離がある程度あって、製品を楕円にするほど押さえない通過方法を考えなければならない。

 改善した方法
 かといって、皆さんが悩んでいたように、水の量を増やして柔らかいPVCを沈めれば極端な楕円になってしまう。丸くならないどころかぺしゃんこに近い状態になってしまう。楕円を直すために水槽内で色々な物を宛がってみたが安定し直す事は出来ないこともわかった。
 悩んだのは、丸くしながら水につける方法である。四角キャリブレーションダイを斜めにし、フリーの状態で通してみた。長さは150mmである。上部が90度になっているので、製品は回転せず、円に近いおにぎり型三角形になった。充分円として認められる状態だ。これでいける。
 その後、何サイズかの四角いキャリブレーションダイを作って確認した。単なるひらめきと実行です。もし同じ方法でやった人がいてもその時丸く出来なければこの方法は駄目だと判断してしまいますから、テクニックをもっている人でなければひらめきも生かせないことになります。
 この方法で作れば、もう、湾曲した製品ができることはないでしょう。カッターガイドでひっかかることはなくなるでしょう。ほかのメーカーはどういう作り方をしているのでしょうか、今までそんなことを考えたこともなかった。これからも他企業がどうしているか考えることはないでしょう。
 押出は、マシンの側で人がこまめに忙しげに仕事をしている時は儲かっていない時で、作業者がのんびり他の仕事をしている時は儲かっている時です。そういう状態に少しはなったと思う。

 この方法はPUやエラストマーのチューブなど規制(しごいたり、バキュームで引っ張ったりすること)できない原料の製品に応用が出来るでしょう。

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