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プラスチックの押出成形会社を興そうと思う方へのアドバイスです。

 押出の基本姿勢と共に、参考にしてください。

 

エンジアリングの押出成形に関して、安定して継続運転ができるための常識的な基礎的な条件を記す。エンプラに限らず、一般的なプラスチックの押出成形でもこの条件が満たされていれば、安定継続運転ができる。

 

私は、1966年頃から、エンプラやウルトラエンプラの各種樹脂で押出成形の各種、チューブ、パイプ、プロファイル、丸棒、板、シート、ガラスや炭素繊維強化ペレットなどの製造を始めた。日本で初、が殆どだった。その時、私が手掛けている現場を見た人は、一様に、太田のところはいいな、何もしないで、眺めていれば、製品ができているものな、楽して儲けられていいな、と、言われた。

それはそうだ。原料がホッパーに入っていれば、それが、減ってゆくにしたがって、引取機の後には連続で製品ができている、それを、カットしているか、巻き取っているだけだから。決まった時間に、製品に関して記録を取るか、溜まった製品を移動するか、原料を補給するかだ。その間、他の部署の仕事の手伝いもできるしね。

 

製品を作ることが出来る技術があれば、他人がうらやむ仕事なのです。眺めていれば、見積で計算した通りの利益は出るのです。原料ロスは、立ち上げ時、製品化するまでと、終了時、金型、シリンダーに残ったものだけだ。そして、それらを作る工程の装置や金型は、半永久に使えるんだから、金がかかるとしたら、電気関係の交換部品に過ぎない。

 

事実、私が経営していた会社、経営していた部門は、ホワイトで十分な利益を上げていた。しかし、私が手伝ったが、経営をしていなかった会社や部門は、すべて、赤字になり、撤退したか、縮小に利益が上がる製品だけ残し、他の主要部門に業種を変換してしまった。

 

 

経営者が原因、

1 固定費の負担増にしてしまう。押出専門は一部門に過ぎなく、他の部門、例えば、射出成型、塗装、プレス、などが主要部門の会社に場合、経営者の報酬や間接部門の費用、建物や土地の代金など固定費を押出部門に多くを負担させ、主要部門の赤字をすくなく、あるいは、利益を出しているように見掛けようとする。そして、押出は赤字だと言い、見積が安からだという。この場合は、押出に関わっている人や場所だけに、アワーチャージを設定すれば、十分の利益を上げている。

 

2 稼動率を下げてしまう。

その一つは、停電。押出成形の場合、停電になれば、順調に生産されているラインを一瞬にして止めてしまう。ここから、製造時間のロスがはじまる、例えば1時間の停電としよう。電気が来て、金型の中で固まった樹脂を溶かすのに1時間、解体し、整備し、セットをし、電機をONにする、それが、2時間、ヒートアップが1時間、良品はできはじまるまで1時間、合計5時間の製造で得られはずの利益がロスになる。原料のロスは終了と立ち上げで、平均5Kgになる。その他に、順調に流れていれば、作業員は、定尺カットやプレスなど、ライン以外の仕事が出来ていたはずなのに、それもロスとなる。

固定費が1時間1万Rp(800円)とすれば、5時間で0,5ジュタRp、4台ライン稼働として、月平均停電5回なら、毎月10ジュタRpの損、1年で120ジュタRp(90万円)の欠損になる、大きいですね。

 

もう一つは、水に大量のカルシウムが含まれている。吸い上げポンプや真空ポンプをダメにする。一年で、何回か修理費用は掛かるし、使えなくなったのが、2台としても35ジュタRp(28万円)損失

また、冷却金型の真空で引く隙間や穴を塞いでしまい、製品の表面が不良になる,そのたびに、一旦、止めて、掃除をしなければならない、ラインが30分ほどストップする、そして、再スタートの原料ロスも生ずる。0.5時間×1万Rp×4ライン×月20回=0,4ジュタRp 1年で4,8ジュタRp(3万円)の損失

原料ロス、停電によるロスは、5kg×4×5回=100Kg

     カルシウムによるロスは、2Kg×4×20回=160Kg

原料平均価格、3万Rp/Kgとすれば、×260Kg=7.8ジュタRp/月

1年で93,6ジュタRp(80万円)になる。

 

1年で、原料は、大体3トンを捨てる。時間は125時間(五日ほど)捨てている。

4ライン稼働で、120+4,8+35+93.6=253,4ジュタRp(180万円)の損をさせる。

 

その他にも、停電なら後加工もできない、特に夜勤中なら、何もできずにじっとしているしかない。また、何より、仕事の意欲を失くす瞬間だ。せっかく、順調にいっているのに、またかよ、やってられないよ、という気分にさせられる。

 

また、資源の無駄使い、捨てるゴミを増やす。悪材料ばかりで、いいことは何もない。

 

3 虫や砂埃が工場内に舞い込む

 

4 使えない装置を買ってしまう。

どんな経緯か知らないが、使えない装置を買ってしまう。例えば、押出ライン、買ったはいいが、使い物ならない。これは直接の損失だ。

 

2~4は、経営者の無知が原因だ。新しい工場に移ってやった。新しい装置を買ってやった。という意識があるのでしょう。それが、会社にとってどんな損を被るかを知らない。

 

押出成形の会社を持ちたい人は押出成形を良く知っている人の意見を聞くことです。良かれと思ったことがその会社の足を引っ張ることになりかねないですからね

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